ケアマネージャー(介護支援専門員)は、介護業界での要職であり、利用者のケアプラン作成や介護サービスの調整を行う重要な役割を担っています。本記事では、ケアマネージャーの年収を他の介護職と比較し、給与の詳細や昇給、転職市場の現状について解説します。具体的な数値や情報を交えながら、ケアマネージャーの収入に関する理解を深めましょう。
1. ケアマネージャーの年収と他介護職との比較
1-1: ケアマネージャーの給与手取りと平均月収
厚生労働省の「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(p.119)」第83表 介護従事者等の平均給与額等(月給の者),職種別,勤務形態別(介護職員処遇改善支援補助金を取得している事業所)によると、常勤で働くケアマネジャーの平均給与額は36万1,770円です。 平均年収を算出すると、434万1,240円(平均月収×12ヶ月)となります。
年収430万円の手取り額は、所得税や住民税、社会保険料を差し引いた額となります。年齢や家族構成によって異なりますが、430万円の手取り額は約350万円前後と推定できます
出典:令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果 第83表介護従事者等の平均給与額等(月給の者),職種別,勤務形態別(介護職員処遇改善支援補助金を取得している事業所)(p.119)より
令和4年9月 | ||||||||||
介護従事者数 (集計対象数) | 平均 年齢 (単位:歳) | 平均勤続 年数 (単位:年) | 実労働 時間数 (単位:時間) | 平均給与額 | ||||||
(単位:円) | 平均基本給額 (単位:円) | 平均手当額 (単位:円) | 平均一時金額 (単位:円) | |||||||
介護職員 | 常勤の者 | 20,176 | 44.7 | 8.7 | 163.7 | 317,540 | 186,190 | 80,670 | 50,680 | |
非常勤の者 | 386 | 52.1 | 6.4 | 112.1 | 209,540 | 137,790 | 50,520 | 21,240 | ||
看護職員 | 常勤の者 | 5,221 | 51.5 | 9.7 | 161.1 | 373,750 | 233,820 | 77,380 | 62,560 | |
非常勤の者 | 132 | 57.3 | 8.1 | 102.4 | 225,040 | 175,150 | 24,460 | 25,420 | ||
生活相談員・支援相談員 | 常勤の者 | 3,438 | 45.6 | 10.6 | 164.1 | 342,330 | 214,470 | 71,450 | 56,420 | |
非常勤の者 | 32 | 46.5 | 9.4 | 117.6 | 306,260 | 233,930 | 37,240 | 35,090 | ||
pT.OT . ST 又は機能訓練指導員 | 常勤の者 | 3,858 | 40.1 | 8 | 159 | 354,770 | 228,610 | 66,320 | 59,840 | |
非常勤の者 | 87 | 45.1 | 7.9 | 93 | 237,260 | 174,440 | 33,610 | 29,220 | ||
介護支援専門員 | 常勤の者 | 2,867 | 50.2 | 12.2 | 163.3 | 361,770 | 220,050 | 82,960 | 58,760 | |
非常勤の者 | 30 | 55.6 | 9.4 | 80.5 | 250,710 | 148,200 | 64,050 | 38,450 | ||
事務職員 | 常勤の者 | 2,992 | 47.8 | 11 | 162.2 | 307,960 | 204,600 | 47,290 | 56,070 | |
非常勤の者 | 61 | 49.2 | 11.2 | 97 | 178,870 | 141,210 | 18,180 | 19,480 | ||
調理員 | 常勤の者 | 1,952 | 47.5 | 9.2 | 163.6 | 260,090 | 180,040 | 33,070 | 46,980 | |
非常勤の者 | 51 | 61.5 | 7.8 | 95.4 | 122,160 | 105,850 | 7,620 | 8,690 | ||
管理栄養士・栄養士 | 常勤の者 | 2,275 | 40.9 | 9.9 | 161.2 | 316,320 | 208,140 | 48,270 | 59,910 | |
非常勤の者 | 28 | 47 | 8.9 | 102 | 192,270 | 145,330 | 21,390 | 25,550 |
1-3: ケアマネージャーの賞与とボーナスの状況
ケアマネージャーの賞与(ボーナス)は、年に2回支給されるのが一般的で、年間で基本給の2ヶ月~3ヶ月分が支給されることが多いです。賞与は勤務先や業績によって変動するため、平均して60万円~90万円程度が見込まれます。
2. 主任ケアマネージャーの年収と役職ごとの比較
2-1: 主任ケアマネージャーの仕事内容と給与アップの方法
主任ケアマネージャーは、通常のケアマネ業務に加え、チームの指導や管理、研修の実施などを担当します。給与面では、一般のケアマネージャーよりも役職手当が加わるため、年収が高くなる傾向があります。給与アップの方法としては、経験を積んで主任の役職を目指すことが一つの道です。
2-2: ケアマネジャーの昇給と将来性
ケアマネージャーの昇給は、勤務年数や実績に応じて行われ、年に1回の定期昇給や役職昇格によって給与が増加します。また、介護報酬の改定やスキルアップにより将来的な収入増加も期待できます。
2-3: 役職別ケアマネージャーの給与と条件
役職によってケアマネージャーの給与には差があり、主任ケアマネージャーや管理職になると、一般ケアマネージャーの年収に比べて大幅に増加します。例えば、主任ケアマネージャーでは年収500万円前後、管理職になると600万円以上も見込まれます。
3. 介護職全体の年収とケアマネージャーの位置付け
3-1: ケアマネを含む介護職の給与相場と職種比較
職種 | 平均年収 |
---|---|
介護福祉士 | 3,810,480円 |
生活相談員 | 4,107,960円 |
ケアマネージャー | 4,341,240円 |
看護職員 | 4,485,000円 |
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等 | 4,257,240円 |
事務職員 | 3,695,520円 |
調理員 | 3,121,080円 |
管理栄養士・栄養士 | 3,795,840円 |
介護職全体の年収は、職種によって異なりますが、厚生労働省の令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果では、介護福祉士で3,810,480円、生活相談員で4,107,960万円、ケアマネージャーで4,341,240円です。ケアマネージャーは、他の介護職と比較してやや高めの年収水準です。しかし、R6年では処遇改善加算が現場職員に加算されていくこととなり現場の職員で働いていく方が給料が高くなっていくという構図ができつつあります。ケアマネの処遇改善がないかぎり近々介護福祉士の給料が高くなる可能性は高いです。
3-2: 施設別ケアマネージャーの給料と職場環境
ケアマネージャーの給与は、施設の種類によっても異なります。特別養護老人ホームや介護老人保健施設では比較的高めの給与が設定されており、単独の居宅介護支援事業所では報酬が異なる場合があります。職場環境により、勤務時間や手当の内容も異なるため、施設選びが重要です。
3-3: 介護報酬改定がケアマネージャーの年収に与える影響
介護報酬の改定は、ケアマネージャーの年収にも影響を与えます。報酬の増加により給与が上がることもありますが、一方で、業務負担が増えることもあります。介護報酬の動向を注視することが重要です。
4. ケアマネージャー求人と転職市場の現状
4-1: ケアマネージャーの需要と求人情報
ケアマネージャーの需要は高く、求人情報も多くあります。特に高齢化が進む地域では需要が増加しており、各施設でケアマネージャーの確保が求められています。
4-2: ケアマネージャーの転職成功事例と年収アップのポイント
転職による年収アップは、より条件の良い職場への移動や、役職の昇格によって実現します。転職成功事例では、年収が20%増加したケースもあります。転職サイトやエージェントの活用も有効です。
4-3: 職種別求人条件とケアマネージャーの人気エリア
ケアマネージャーの求人条件は、施設や地域によって異なり、人気エリアでは給与が高めに設定される傾向があります。例えば、東京都や大阪府などの都市部では、給与が高く設定されることが多いです。
5. ケアマネの資格取得と介護支援専門員の成り方
5-1: 資格取得の方法とケアマネ試験の合格率
ケアマネージャーの資格取得には、介護支援専門員試験に合格することが必要です。試験の合格率は約10%~20%と低めですが、しっかりとした勉強と準備が求められます。
5-2: ケアマネージャーの実務経験と資格研修
ケアマネージャーになるためには、一定の実務経験が必要で、通常は介護福祉士や看護師などの実務経験が求められます。筆記試験合格後、資格研修を受けることで、業務に必要な知識やスキルを習得できます。
5-3: 介護福祉士とケアマネージャーの違いとキャリアパス
介護福祉士は主に介護サービスの提供を行い、ケアマネージャーはケアプランの作成や調整を担当します。介護福祉士からケアマネージャーへのキャリアパスは、昇進の一つとして一般的です。
6. ケアマネージャーの勤務形態と働き方
6-1: 正社員・パート・アルバイトの雇用形態別給与比較
ケアマネージャーの雇用形態は、正社員、パート、アルバイトがあります。正社員の給与が最も高く、平均年収が400万円~500万円程度です。パートやアルバイトでは時給制で、時間あたりの給与が設定されます。
6-2: 居宅介護支援と施設勤務の違いと給与条件
居宅介護支援でのケアマネージャーは、訪問先での支援が中心であり、給与はやや高めです。一方、施設勤務では、施設内での業務が中心で、給与は標準的ですが、安定した労働環境が提供されます。
6-3: ケアマネージャーの管理職へのステップと役割
ケアマネージャーから管理職へのステップは、経験とスキルの積み重ねが重要です。管理職になると、チーム全体のマネジメントや施設運営にも関与するため、給与が大幅に増加する可能性があります。
7. ケアマネージャーの平均勤続年数と昇給率
7-1: ケアマネージャーの勤続年数と年収の関係
ケアマネージャーの平均勤続年数は約12年で、平均年齢は50歳となっております。勤続年数的にはベテラン勢であり勤務年数が長いほど年収が高くなる傾向があります。役職と共にベースアップする給与形態が多いです。事業所によっては担当件数によって手当がかわる事業所もあります。
7-2: ケアマネージャーの求められるスキルと学習方法
ケアマネージャーに求められるスキルは、介護知識、調整能力、コミュニケーション能力です。学習方法としては、資格取得のための研修や、定期的なセミナーへの参加が有効です。
7-3: ケアマネにおける継続的なスキルアップと収入増加
継続的なスキルアップにより、ケアマネージャーの収入増加が期待できます。特に、主任ケアマネージャーや管理職への昇進を目指すことで、年収がに増加する可能性があります。
8. ケアマネージャーの地域別年収と求人状況
8-1: 東京都など地域別ケアマネの給与事情
地域によってケアマネージャーの給与には差があり、東京都や大阪府などの都市部では、平均年収が高めに設定されています。一方、地方では生活費が低い分、年収がやや低めになることがあります。また、東京都では介護職員の勤続年数が5年以内の介護職員に月額2万円を、6年目以降の介護職員や全てのケアマネに月額1万円を、「居住支援特別手当」という名目で支給されています。
8-2: 都市部と地方のケアマネージャー求人と年収の比較
都市部ではケアマネージャーの求人が多く、年収も高めに設定されています。地方では求人は少なめですが、求められるスキルに応じて給与が設定されることがあります。
8-3: 都道府県別ケアマネの給与データと今後の予想
都道府県別のケアマネージャーの給与データを基に、今後の給与の推移や予想を立てることができます。介護報酬の改定や地域の高齢化率により、給与水準が変動することが予想されます。
9. ケアマネージャーの手当と加算制度
9-1: ケアマネージャーの役職手当と業務手当の種類
ケアマネージャーには、役職手当や業務手当が支給されることがあります。これには、主任手当や特別業務手当などが含まれ、月収に上乗せされます。
9-2: 加算制度を活用した年収アップ事例
加算制度を活用することで、ケアマネージャーの年収が増加することがあります。居宅介護支援事業所では一定の基準を満たした業務を行うことで加算が適用されることがあります。これらの加算を従業員に還元させることで年収アップする職場もあります。
- 特別地域居宅介護支援加算
- 中山間地域等における小規模事業所加算
- 初回加算
- 特定事業所加算
- 特定事業所医療介護連携加算
- ターミナルケアマネジメント加算
- 入院時情報連携加算
- 退院・退所加算
- 緊急時等居宅カンファレンス加算
ケアマネ事業所により加算などを算定し売り上げを増加させ職員に還元するシステムが望ましいですが本の一部の事業所でしか反映されていないのが現状です。
9-3: ケアマネージャーの待遇と手当の改善状況
ケアマネージャーの待遇や手当は、制度改定や施設の方針により改善されることがあり、年収の向上や労働条件の改善が進んでいます。各施設の情報を収集し、最適な選択をすることが重要です。
ケアマネージャーの給料や待遇について、他の介護職との比較を通じて理解を深めることができました。ケアマネージャーとしてのキャリアを考える際には、年収や待遇だけでなく、働き方やスキルアップの機会も考慮することが重要です。