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日本と世界の平均寿命ランキング

令和5年の日本の平均寿命について

日本の平均寿命は、厚生労働省が発表した令和5年簡易生命表によれば、2023年に男性が81.09歳、女性が87.14歳となっています。この数値は、世界的にも非常に高い水準を示しています。日本の長寿の背景には、高度な医療技術、健康意識の高まり、バランスの取れた食生活、社会的な支援体制の充実など、多くの要因があると考えられます。

日本の時代別の年齢の平均寿命

日本の平均寿命の推移を見ると、戦後から現在にかけて大幅に延び続けていることがわかります。以下では、各時期ごとの平均寿命の変化や、男女差の変動について考察します。

主な年齢の平均余命

和暦男女差:年
昭和2250.0653.963.9
昭和25-2759.5762.973.4
昭和3063.667.754.15
昭和3565.3270.194.87
昭和4067.7472.925.18
昭和4569.3174.665.35
昭和5071.7376.895.16
昭和5573.3578.765.41
昭和6074.7880.485.7
平成275.9281.95.98
平成776.3882.856.47
平成1277.7284.66.88
平成1778.5685.526.96
平成2279.5586.36.75
平成2780.7586.996.24
令和281.5687.716.15
令和381.4787.576.1
令和481.0587.096.03
令和581.0987.146.05

出典:令和5年簡易生命表の概況

戦後の急激な平均寿命の伸び

  • 昭和22年(1947年)から昭和30年(1955年)にかけて、平均寿命は男性が50.06歳から63.6歳に、女性が53.96歳から67.75歳に大幅に延びています。この急激な伸びの背景には、戦後の医療体制の整備、経済復興による生活水準の向上、栄養状態の改善が大きく寄与していると考えられます。
  • また、感染症や栄養不足が戦前の主要な死亡原因だったのに対し、衛生環境の改善と予防接種の普及が行われたことで、多くの病気が制御できるようになりました。

高度経済成長期(昭和30年~50年)

  • 昭和30年から50年(1955年~1975年)にかけても平均寿命は伸び続け、特に昭和40年(1965年)以降、男女ともに70歳を超えています。この時期は日本の高度経済成長期であり、社会全体の医療インフラが整い、国民皆保険制度が導入されたことで医療アクセスが向上しました。
  • この時期、都市化や生活環境の改善も進み、栄養や健康管理の質が向上しました。特に、医療の進歩と高血圧や脳血管疾患の治療技術が向上したことが寿命延伸に影響を与えています。

昭和50年から平成期への移行と医療技術の進化

  • 昭和50年(1975年)から平成初期にかけて、平均寿命の伸びは少しずつ安定しながらも、男女差が拡大する傾向が見られました。この期間には生活習慣病が新たな健康課題となり、医療や予防医療への関心が高まりました。男性の喫煙率が高かったことも、男女差が拡大する一因となったと考えられます。
  • 一方で、医療技術が飛躍的に向上し、がんや心疾患に対する治療法が進歩したことも、平均寿命の延長に寄与しています。平成に入ると生活習慣病の予防が強化され、高齢者への医療や福祉サービスの充実も進みました。

平成後期から令和への移行と健康寿命の維持

  • 平成の終盤から令和期にかけて、平均寿命は80歳を超え、男女差も6歳前後で安定しています。令和初期(2020年以降)では、男女ともに平均寿命はほぼ横ばいですが、これは寿命の延伸が限界に近づいたことや、健康寿命の質の向上が重視されるようになったことを示しています。
  • また、高齢化に伴い医療や介護のニーズが多様化し、予防医療やリハビリテーションの重要性が増しています。さらに、認知症や生活習慣病の予防、メンタルヘルスへの関心も高まっており、寿命の質が重視される時代となっています。

男女差の推移と健康意識の違い

  • 男女差は昭和後半から平成初期にかけて拡大し、平成7年(1995年)には最大の6.47歳に達しました。その後は徐々に縮小傾向を見せ、令和期には約6歳で安定しています。
  • 男女差が大きかった要因として、男性の喫煙や飲酒などの生活習慣が挙げられますが、近年では健康意識の高まりにより、男性の寿命も延びています。また、医療技術の発展と共に、心疾患やがんの治療が進んだことも男女差縮小の一因です。

今後の課題と展望

  • 日本の平均寿命は今後も高水準を維持すると考えられますが、超高齢社会において健康寿命の維持や介護予防がますます重要になります。健康寿命を延ばすために、生活習慣病の予防や高齢者の社会参加、リハビリテーションの強化が必要です。
  • また、テクノロジーを活用した健康管理システムや、地域包括ケアシステムの推進も求められています。

まとめ

日本の平均寿命がこれほどまでに延びた背景には、戦後からの医療体制の整備、生活水準の向上、そして健康への意識の高まりが大きく影響しています。今後は「健康寿命」を延ばすための施策がより一層重要であり、医療・福祉・地域社会の連携が期待されています。

日本人が長生きできる理由

高度な医療技術と健康意識の向上

日本は医療技術が発達しており、高齢者向けの医療・介護サービスが広範に提供されています。また、健康診断の受診率が高く、早期発見・早期治療が浸透していることも、寿命を延ばす要因となっています。

バランスの取れた食生活と生活習慣

日本の伝統的な食事は、野菜や魚、発酵食品などが多く含まれており、栄養バランスに優れています。さらに、規則正しい生活習慣やウォーキングの習慣など、運動を取り入れた日常も長寿に寄与しています。

社会的支援体制の充実

年金制度や医療保険制度、介護保険制度など、社会全体で高齢者を支える体制が整っています。地域での見守り活動やコミュニティ支援も、孤立を防ぎ、心身の健康を保つ一因です。

日本の平均寿命のさらなる延伸には、健康寿命をいかに伸ばすかが重要です。

国際的な平均寿命について

平均寿命の国際比較

国名作成基礎期間男(平均年齢)女(平均年齢)人口(万人)
日本202381.0987.1412 119
アルジェリア2019*77.278.64 423
コンゴ民主共和国2018*56.559.710 525
エジプト202368.873.810 361
南アフリカ2022*6065.66 060
チュニジア202274.779.31 178
カナダ2020 – 202279.2883.843 893
コスタリカ2022*78.3183.46521
メキシコ202372.378.613 012
アメリカ合衆国202274.880.233 329
アルゼンチン2020*74.981.444 624
ブラジル202271.9678.9521 483
チリ2022 – 2023*78.583.961 983
コロンビア2021 – 2022*72.0778.525 168
ペルー2022*74.479.73 340
バングラデシュ2020*71.274.517 173
中国202075.3780.88141 175
キプロス202279.683.390
インド2016 – 202068.671.4136 717
インドネシア202370.1774.1827 577
イラン2016*72.575.58 470
イスラエル2017 – 202180.7884.75937
マレーシア202372.577.43 265
フィリピン2015 – 2020*69.9375.9111 157
カタール202179.9783.4279
韓国202279.985.65 163
シンガポール202280.785.2564
タイ202273.680.76 681
トルコ2017 – 2019*75.9481.38 498
オーストリア202279.0583.78898
ベルギー202279.5583.781 162
チェコ202376.8982.781 052
デンマーク2022 – 202379.5883.44587
フィンランド202378.9684.19555
フランス202380.0385.756 565
ドイツ2020 – 202278.3383.188 324
ギリシャ2020*78.3483.611 046
アイスランド202280.983.838
イタリア202381.0985.2255 903
オランダ202280.183.091 759
ノルウェー202381.3984.63543
ポーランド202273.4281.063 765
ロシア202267.5777.7714 686
スペイン202280.3685.744 743
スウェーデン202381.5884.91 045
スイス202382.385.9874
ウクライナ2021*65.1674.364 100
イギリス2020 – 202278.5782.576 703
オーストラリア2020 – 202281.2285.262 598
ニュージーランド2021 – 202380.2583.73512

平均寿命の諸外国との比較は、国により作成基礎期間や作成方法が異なるため、厳密な比較は困難である。しかし、現在入手している資料を用いて比較すると、表のとおりである。出典:令和5年簡易生命表の概況

1. 平均寿命の地域差

アジアとヨーロッパ: アジアの多くの国(例:中国、韓国、日本、シンガポール)やヨーロッパ諸国(例:スイス、スペイン、イタリア、スウェーデン)では、平均寿命が80歳以上と非常に高いです。特に、先進国で医療技術や健康意識が高い国々がこの範囲に含まれます。

アフリカ: アフリカの国々(例:アルジェリア、コンゴ民主共和国、南アフリカなど)では平均寿命が50歳代から70歳前後と低めです。これは医療設備の不足、経済状況、感染症のリスクが影響していると考えられます。

中東や南アジア: インドやバングラデシュ、イランなどの国々も平均寿命がやや低い傾向があります。経済発展の進行状況や医療環境が関係していると推測されます。

2. 男女差の傾向

どの国も一般的に女性の平均寿命が男性を上回っており、特にヨーロッパやアジアの一部の国では5歳から6歳の差があります。日本(男性81.09歳、女性87.14歳)やスウェーデン(男性81.58歳、女性84.9歳)などがその典型です。

この差は、男性が職場でのストレスや肉体労働を多く抱えること、また生活習慣(喫煙や飲酒の割合が高い)による健康への影響があると考えられます。

3. 特筆すべき高寿命国

日本: 日本は女性の平均寿命が87.14歳と世界でもトップクラスです。食生活のバランス、社会的な健康支援制度、医療へのアクセスが整っていることが高寿命に寄与しているとされています。

スイス: スイスも男女ともに平均寿命が高く、女性は85.9歳、男性は82.3歳です。医療の質や生活水準の高さが要因と考えられます。

4. 比較的寿命の短い国

ウクライナやロシア: ウクライナの平均寿命は女性が74.36歳、男性が65.16歳、ロシアも同様に低く、医療体制や社会不安、環境的要因、飲酒や喫煙の影響が一因と推測されます。

アフリカの一部の国: コンゴ民主共和国や南アフリカなども平均寿命が低い傾向が見られます。経済的に発展途上にあり、医療へのアクセスが限られることが推測されるます。

総括

全体的に、経済発展や医療制度の充実が平均寿命に大きく影響していることがわかります。また、健康習慣や生活環境も国によって異なり、平均寿命の格差を生んでいる要因と考察できます。

日本と世界の平均寿命ランキング

ここでは、平均寿命の国際比較からのデータを元に男女の平均寿命の合計値を用いて、国別に平均寿命の高い順にランキングしています。

ランキング国名男性(平均年齢)女性(平均年齢)平均寿命合計
1日本81.0987.14168.23
2スイス82.385.9168.2
3スウェーデン81.5884.9166.48
4ノルウェー81.3984.63166.02
5イタリア81.0985.225166.315
6シンガポール80.785.2165.9
7フランス80.0385.75165.78
8韓国79.985.6165.5
9オーストラリア81.2285.26165.3
10スペイン80.3685.74165.1
11イスラエル80.7884.75164.53
12アイスランド80.983.8164.7
13ベルギー79.5583.78163.33
14カタール79.9783.4163.37
15カナダ79.2883.84163.12
16フィンランド78.9684.19163.15
17オーストリア79.0583.78162.83
18オランダ80.183.09163.19
19デンマーク79.5883.44163.02
20ニュージーランド80.2583.73163.98

このランキングで、日本が1位、スイスが2位、スウェーデンが3位となります。

まとめ:世界と日本の平均寿命

寿命ランキングを考察すると、医療水準や生活水準の高さ、健康意識の向上が影響している国が平均寿命を延ばしていると考えられます。

日本の平均寿命が高いのは、伝統的な食生活、充実した医療制度、高い健康意識、社会的つながり、清潔で安全な生活環境、そしてテクノロジーの導入が相互に作用している結果です。これらの要素が、国際的にも評価される「長寿社会・日本」を形作っています。