介護問題について

介護職の人気が上がらない理由と未来の展望

はじめに

日本の高齢化が進む中で、介護職の重要性はますます増しています。しかし、介護職は依然として人気がなく、人手不足が深刻な課題となっています。この記事では、介護職がなぜ人気が上がらないのか、その理由と未来の展望について詳しく探ります。

介護職の人気が上がらない5つの理由

1. 給与の低さ

介護職の給与は他の職種に比べて低いことが大きな問題です。特に、体力的・精神的に負担の大きい業務内容に対して、給与が見合っていないと感じる人が多くいます。厚生労働省のデータによれば、介護職の平均年収は380万円程度(令和4)で、全体の平均年収(400万円程度)を下回っています 。

Care manager salary comparison
ケアマネージャーの給料を他の介護職と比較してみた ケアマネージャー(介護支援専門員)は、介護業界での要職であり、利用者のケアプラン作成や介護サービスの調整を行う重要な役割を担っています...

2. 労働環境の厳しさ

介護現場は多忙で、夜勤や長時間勤務が求められることが多いです。これにより、プライベートの時間が確保しづらく、肉体的・精神的な負担が大きくなりがちです。これが離職率の高さにつながっています 。

訪問介護員・介護職員の採用率と離職率:詳細分析

公益財団法人介護労働安定センターが発表した「令和4年度 介護労働実態調査結果」によると、訪問介護員及び介護職員(介護保険の訪問介護以外の指定介護事業所で働き直接介護を行う者)の採用率と離職率は以下の通りです。

  • 2職種合計
    • 採用率:16.2%(前年度15.2%)
    • 離職率:14.4%(同14.3%)
  • 訪問介護員
    • 採用率:13.8%(前年度12.9%)
    • 離職率:13.2%(同13.1%)
  • 介護職員
    • 採用率:18.1%(前年度16.8%)
    • 離職率:15.5%(同15.4%)

出典:介護労働安定センター「令和4年度 介護労働実態調査結果

ポイント

  • 採用率は2職種合計で前年度より1.0%上昇し、16.2%となりました。
  • 離職率は2職種合計で前年度より0.1%上昇し、14.4%となりました。
  • 訪問介護員と介護職員を比較すると、介護職員の方が採用率、離職率ともに高くなっています。
  • 無期雇用者と有期雇用者を比較すると、有期雇用者のほうが採用率、離職率ともに高くなっています。
    • 特に、介護職員においては、無期雇用者と有期雇用者の間で採用率に7.3%、離職率に4.7%の差が見られます。

考察

近年、介護業界では深刻な人材不足が問題となっており、採用率の向上と離職率の低下が課題となっています。今回の調査結果では、採用率は前年度より上昇しているものの、離職率も上昇しており、十分な改善には至っていない状況と言えます。

また、訪問介護員と介護職員、無期雇用者と有期雇用者で採用率や離職率に差があることが示唆されています。これらの差を分析することで、より効果的な人材確保策を検討していくことが重要です。

3. 社会的評価の低さ

介護の仕事は、高齢者の身体介護だけでなく、認知症介護、生活支援、心理的なケアなど、幅広い専門知識と技術が必要とされます。
しかし、こうした介護職の専門性が十分に理解されていないことも、社会的評価が低くなる一因と考えられます。
近年、介護職の重要性はますます高まっており、社会的な認知度も少しずつ向上しつつあります。しかし、依然として多くの課題が残されています。

4. キャリアパスの不透明さ

介護職は、明確なキャリアパスが描きづらいという問題もあります。昇進や給与の増加が見込みにくいため、長期的なキャリア形成が難しいと感じる人が多いです 。

介護業界では、介護福祉士などの資格を取得することでキャリアアップを目指すことができますが、資格取得と実際のキャリアアップが必ずしも連動しているとは限りません。
また、職種や勤務先によって、キャリアパスが大きく異なることも、イメージしにくくなる原因の一つです。
たとえば、介護施設の場合、介護職員から介護主任、ユニットリーダー、施設長と昇進していくキャリアパスがありますが、すべての施設で同じようなキャリアパスがあるわけではありません。
また、訪問介護の場合、独立して事業所を立ち上げるというキャリアパスもありますが、成功するためには多くの苦労と努力が必要です

介護業界は深刻な人手不足に直面しており、人材不足がキャリアアップの妨げになっている可能性があります。
特に、管理職や専門職を目指す場合、必要な経験やスキルを積む機会が少ないという課題があります。また、昇進しても給与が大幅に上がるわけではないため、モチベーションを維持するのが難しいという声もあります。

5. 教育・訓練の不足

介護職に従事するための教育や訓練が不足していることも問題です。適切な研修やスキルアップの機会が少ないため、業務に対する不安やストレスが増大し、職場定着率の低下につながっています 。

介護職の未来の展望

1. 給与改善の取り組み

政府や業界団体による介護職の給与改善の取り組みが進められています。例えば、小ぐう改善加算や介護報酬の引き上げや、特定の資格取得による手当の増額などが行われています。これにより、給与水準の向上が期待されています 。

2. 労働環境の改善

ICT(情報通信技術)の導入や介護ロボットの活用により、労働環境の改善が進んでいます。これにより、業務の効率化や負担軽減が図られ、介護職員の働きやすさが向上しています 。

3. 社会的評価の向上

介護職の社会的評価を向上させるための取り組みも行われています。メディアでのポジティブな情報発信や、介護職の価値を認める社会的な認識の醸成が進んでいます。介護現場の実態を広く知らせることで、理解と評価が深まることが期待されています 。

4. 教育・訓練の充実

介護職の教育・訓練を充実させるための施策が取られています。資格取得の支援や、現場での実践的なトレーニングプログラムが提供されることで、介護職員のスキル向上が期待されています 。個々でのリスキリングやリカレント教育が必要になっております。

結論

介護職は今後ますます重要な役割を担うことが予想されます。給与改善や労働環境の改善、社会的評価の向上、キャリアパスの多様化、教育・訓練の充実といった取り組みが進むことで、介護職の人気が上がり、人手不足の解消につながることが期待されます。介護職に対する理解と評価を深めることで、より多くの人がこの重要な職業に関心を持つようになるでしょう。