便とり職人という言われたらあなたはどう思う?
介護の現場で、ある日「あなたは、便とり職人だね」と呼ばれたら、あなたはどう感じるでしょうか?この言葉に対して、思わず笑ってしまう人もいれば、どこか引っかかるような感情を抱く人もいるかもしれません。私たち介護職員にとって、排泄介助は日々行う大切な仕事の一つですが、そこに誇りを持てるかどうかは、その人自身の信念に深く関わるものです。
介護の仕事に従事していると、時には過酷な状況に直面することもあります。排泄介助は、身体的にも精神的にも大きな負担がかかる場面が多いですが、それだけに大きな責任感とやりがいを感じる瞬間でもあります。それでも、もし自分の中に「便を取る仕事は恥ずかしい」「きつい作業だ」「底辺の仕事」といった偏見や抵抗感があれば、「便とり職人」と言われたときに、それをただの侮辱と受け取ってしまうかもしれません。
しかし、私たちがこの仕事に誇りを持ち、信念を持って向き合っていれば、同じ言葉が笑い話に変わることもあります。介護はただの労働ではありません。それは、相手の人生を支える重要な使命です。
脳梗塞後遺症の利用者からの感謝の言葉
私が以前担当していた利用者のAさんは、脳梗塞の後遺症で下肢筋力が低下し、自力でトイレに行くことが難しい状態でした。そんなAさんの介助を続けていたある日、彼がふと私にこう言ったのです。
「君が私の便を取ってくれるから、私は生きられているんです。」
この言葉に、胸が熱くなりました。排泄という、人間にとって最もプライベートでデリケートな場面での介助が、Aさんにとってどれほど大きな支えになっているかを痛感しました。それは単に身体を支えるだけでなく、心を支える行為でもあるのだと強く感じた瞬間でした。
介護の仕事の本質は、こうした日々の積み重ねにあります。排泄介助を通じて、その人が尊厳を保ち、生活の質を維持することができる。それが「便とり職人」と呼ばれることの本当の意味です。この職業に偏見を持つのではなく、自分が誰かの命を支えているという揺るぎない誇りを持てば、「便とり職人」と言われても、それは笑顔で受け流すことができるはずです。
福祉職として使命感
介護の現場では、時に過酷な仕事が待っていますが、その中にも深い意味があります。「便とり職人」としての仕事は、決して軽んじられるものではありません。それは、人が生きるために必要不可欠なサポートです。もしあなたがこの仕事に誇りを持ち、介護者としての使命感を忘れずにいれば、その言葉さえもユーモアに変わるのです。
私たちは、人の生活を支える職人です。排泄介助に限らず、私たちが行うすべての仕事は、利用者の生活を支え、彼らが尊厳を保ちながら生きていくための大切なサポートです。だからこそ、「便とり職人」と呼ばれても、それを胸を張って誇ることができるのです。
介護の現場で感じる厳しさも喜びも、すべては相手の笑顔や感謝の言葉につながっています。その一言が、私たちの心に大きな力を与えてくれるのです。
介護職の使命は大それたものでなくていい
介護職の使命は、排泄介助などの身体的なサポートに限りません。もちろん、それは利用者の日常生活において欠かせない役割ですが、私たちが本当に大切にしているのは、利用者が一日を穏やかに、そして笑顔で過ごせるようにすることです。介護の現場では、どんなに小さな行動でも、その人にとって大きな意味を持つことがあります。
例えば、朝の挨拶にほんの少しの笑顔を添えること。それだけで利用者の表情が和らぎ、良い一日が始まるきっかけになります。また、会話の中で「今日はどんな夢を見ましたか?」と問いかけ、利用者の思い出話を聞くことで、その人の心がほぐれ、心地よい時間を過ごすことができるのです。こうした些細なコミュニケーションが、実はその人の一日の雰囲気を決定づけることもあります。
また、利用者それぞれの価値観に寄り添うことも、介護の使命です。ある人にとっては、好きな音楽を聴くことが癒しとなり、また別の人にとっては、天気の良い日に外の景色を眺めることが安らぎの時間になります。介護者として大切なのは、そうした「その人にとって何が大切か」を理解し、その人の心が豊かになる瞬間を作り出すことです。
ある日のこと、Bさんという利用者が朝から元気がない様子でした。少し気になり、私は「一緒にお庭に出てみませんか?」と誘いました。外に出て、秋の風に当たったBさんは、しばらくして「空を見上げると気持ちが軽くなるね」と笑顔を見せてくれました。たった数分の庭散歩が、Bさんの心を軽くし、その日一日を穏やかに過ごすための力になったのです。
高齢者に寄り添うという心構えでいい
私たち介護職員は、ただ身体のケアをするだけでなく、利用者の心に寄り添い、彼らが一日一日を心穏やかに、笑顔で過ごせるような環境を提供する役割を担っています。排泄介助という行為(便とり職人)も、その人が心地よく過ごせるための一つの要素であり、同時に他の小さな気配りや行動もまた、大きな支えとなるのです。
介護の本当の使命は、利用者の心に寄り添い、彼らが日常の中で小さな幸せや安心感を感じられる瞬間を作り出すことですではないでしょうか?使命感とおもうと大それたものに聞こえますが気持ちとして自分で理解しておくことでどんな言葉で声掛けられようともユーモアに切り替えれるのです。