目次
  1. 要介護3の認定基準と診断の流れ
  2. 要介護2・4との違いと日常生活自立度
  3. 要介護3になる主な原因と症状
  4. 要介護3で受けられる限度額について
  5. 要介護3で受けられる支援内容 モデルケース
  6. 月額の介護サービス料金(モデルケース)
  7. 知っておきたい!要介護3でもらえるお金と制度
  8. 補助金・助成金や控除制度の活用
  9. 高額介護サービス費制度(介護保険)
  10. 医療費との合算制度(高額医療・高額介護合算制度)
  11. 障害者手帳・生活保護などとの併用
  12. 税金の控除制度もチェック
  13. 要介護3の在宅介護と介護施設利用の月額費用の比較表
  14. 要介護3で在宅サービスと施設サービスはどっちがいい?
  15. 🌟 在宅サービス(居宅サービス)
  16. 🏠 施設サービス(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設など)
  17. 🧭 判断のポイント

要介護3の認定基準と診断の流れ

要介護3は、介護保険制度における7段階の要介護認定のうち、上から3番目に位置づけられる状態です。日常生活の多くの場面で介助が必要とされ、家族の支援だけでは対応が難しい状態を示しています。

元気支援が必要な状態低い←介護が必要な状態→高い
非該当要支援要介護
該当なし1212345

認定の流れ

  1. 申請:市区町村の介護保険窓口にて要介護認定を申請します。申請は本人または家族、ケアマネジャーなどが代行可能です。
  2. 訪問調査:市区町村が委託した調査員が自宅などを訪問し、74項目にわたる聞き取り調査を行います。
  3. 主治医意見書:主治医が身体・精神の状態について意見書を作成します。
  4. 介護認定審査会:調査結果と主治医意見書をもとに、要介護度が判定されます。
  5. 認定通知:原則30日以内に認定結果が通知されます。

要介護3と認定される方は、立ち上がり・歩行・排泄・食事など、日常生活の基本的動作において、継続的かつ頻繁な介助を必要とします。

要介護2・4との違いと日常生活自立度

要介護度は、本人の心身状態と介護の必要度を表す指標です。要介護3は中度の介護が必要な状態にあたりますが、前後の要介護2・4とは以下のような違いがあります。

要介護度特徴日常生活自立度の目安
要介護2軽度~中等度。部分的な介助が必要(排泄や入浴など)。一部介助で自立可能な場面あり
要介護3中等度。多くの生活場面で介助が必要。認知症を伴うことも。ほとんどの行為において他者の支援が必要
要介護4中等度~重度。身体介護が常時必要。移動も困難なケース多い。寝たきりに近い生活、移乗や食事にも全面介助

日常生活自立度の観点では、要介護3になると、日常生活を自力で行うことがかなり困難となり、家族や介護職による定期的な介入が不可欠です。

要介護3になる主な原因と症状

要介護3の原因は多岐にわたりますが、主な要因は以下のケースが多いです。

主な原因

  • 脳血管疾患(脳梗塞・脳出血):半身麻痺や言語障害などを引き起こし、生活能力が著しく低下します。
  • 認知症の進行:見当識障害や徘徊、食事や排泄の失敗が多くなり、生活全般にわたる支援が必要に。
  • 骨折・転倒による身体機能低下:大腿骨頸部骨折などの回復が困難な場合、継続的な介助が必要になります。
  • 慢性疾患の重度化:糖尿病や心疾患、パーキンソン病などにより自立生活が難しくなることも。

よく見られる症状

  • 食事や排泄の一部または全てにおいて介助が必要
  • 一人での入浴や着替えが困難
  • 歩行補助具があっても不安定で、転倒リスクが高い
  • 認知機能の低下により、物忘れや徘徊、被害妄想などが見られる場合もある

要介護3で受けられる限度額について

要介護3では、介護保険のサービスを幅広く利用できます。限度額(約27,0480円/月)の範囲内で、下記のようなサービスを組み合わせて介護保険(1割~3割)で利用可能です。

要介護度支給限度基準額(単位数)1ヶ月の金額目安
(1割負担の場合)※
要支援15,032単位5,0320円
要支援210,531単位10,5310円
要介護116,765単位16,7650円
要介護219,705単位19,705円
要介護327,048単位27,0480円
要介護430,938単位30,9380円
要介護536,217単位36,2170円

※1単位 10円で計算の場合

居宅サービス(在宅で暮らす場合)

  • 訪問介護(ホームヘルプ):入浴・排泄・食事の介助、掃除や洗濯などの生活支援
  • 訪問看護:看護師による医療的ケア(褥瘡処置、服薬管理など)
  • 通所介護(デイサービス):日中の見守り・入浴・機能訓練・食事の提供
  • 福祉用具貸与・住宅改修:歩行器、ベッド、手すりの設置など
  • ショートステイ:数日~1週間程度の一時的な宿泊型介護

施設サービス

  • 特別養護老人ホーム(特養):要介護3以上で入所可能。長期入居が前提。
  • 介護老人保健施設(老健):在宅復帰を目指すリハビリ中心の施設
  • グループホーム(認知症がある場合):小規模生活の中で支援を受ける

サービス利用のポイント

ケアマネージャーがケアプランを作成し、ご本人の状態やご家族の負担を総合的に考慮して、最適なサービスを提案・調整します。介護保険の自己負担割合は原則1割(所得により2~3割)です。

要介護3で受けられる支援内容 モデルケース

🔹モデルケース:要介護3の男性(78歳)・自宅で娘と同居

◼️基本情報

  • 病歴:脳梗塞後遺症による右片麻痺、軽度の認知症あり(物忘れ・見当識障害)
  • 日常生活:移動は室内では手すりを使って何とか歩行、外出時は車椅子。
  • 入浴(一部介助)・排泄(ポータブルトイレ可能・リハビリパンツ)・食事(準備しておけば自分で食べれる。)
  • 家族構成:娘(50代・パート勤務)と同居
  • 課題:日中の見守り、入浴介助、リハビリ、家族の介護負担軽減

🔹ケアプラン(サービス構成例)

区分サービス内容利用頻度・内容説明
訪問介護身体介護中心週5回(昼・夕)食事準備・排泄・整容・移動介助など。家族の負担軽減。
通所リハビリ(デイケア)機能訓練+入浴・昼食・レク週2回リハビリで身体機能の維持、他者交流・入浴目的。
福祉用具貸与車椅子、手すり、車いす・ベッド常時状況に応じた用具で移動や排泄を支援。
住宅改修手すり設置・段差解消など初期に実施室内での転倒リスクを軽減。
福祉用具購入ポータブルトイレなど必要時に申請夜間の排泄支援、家族の負担軽減。
訪問看護健康管理・服薬確認週1回血圧・服薬の確認と家族への助言。
短期入所(ショートステイ)介護者休養月1回・2泊3日家族のレスパイトケアとして活用。

🔹支援のポイント

  • 自立支援:デイケアでの個別リハビリや歩行訓練を取り入れ、生活機能維持を図る。
  • 介護負担軽減:訪問介護やショートステイで、同居家族の身体的・精神的負担を軽減。
  • 安全な生活環境:住宅改修や用具活用で、在宅生活の安全性確保。
  • 認知症対応:訪問看護やデイサービスでの見守りにより、不安・徘徊リスクへの対応。

月額の介護サービス料金(モデルケース)

サービス負担額(月)(1割負担の場合)
訪問介護 2回/日 (朝・夜 40回/月)約9760円
通所リハビリ 入浴あり 2回/週約8168円
訪問看護 1回/週約1884円
ショートステイ 2泊3日約2361円
福祉用具(ベット・車いす)約1848円
合計約24021円前後

※単位数単価10円で計算・加算や自費(食事代や居室代など)は含めておりません。

介護保険の支給限度額(要介護3:約27,0480円)内で調整可能。

モデルケースのポイントについて

要介護3の方は中程度の介護が常時必要な状態であり、「在宅生活を継続できる支援体制の構築」が大きなポイントです。本人の残存能力を活かす支援と、家族の介護力の維持・支援の両面からアプローチすることが重要です。

要介護3は特別養護老人ホームに入居申し可能になる

要介護3になると特別養護老人ホームへ入居申し込みが可能になります。特別養護老人ホームは介護と施設の部屋タイプによって費用が違いますが、比較的に安く施設サービスを活用することができます。

知っておきたい!要介護3でもらえるお金と制度

介護保険の負担割合とは?

介護保険は、原則として要介護認定を受けた方が、必要なサービスを自己負担1〜3割で利用できる制度です。

利用者負担割合は、65歳以上の方は1割または一定以上の所得のある場合は2割、特に所得の高い場合は3割となります。40歳から64歳までの方は1割となります。

支給限度額とは?

介護保険では、要介護度に応じて「1か月あたりの支給限度額」が設定されています。これを超えた分は全額自己負担です。

【要介護3の支給限度額(2024年度)】

  • 27万0480円/月(10割相当)
  • 自己負担割合が1割の方の場合 → 月27,048円まで自己負担
  • 支給限度額を超えるサービス利用は? → 全額自費になるため注意

自費の例:27,048単位を使い切り車いすの500単位がオーバーになると500単位は全額自費となります。オーバー分の500単位を円に直すとおよそ5000円が全額負担になります。

ケアマネジャーの役割

限度額を超えないように、必要なサービスを組み合わせてケアプランを作成してくれます。

ご本人の身体状況や生活スタイルに合わせ、費用の無駄が出ない支援を行います。

補助金・助成金や控除制度の活用

介護には、介護保険以外にもさまざまな支援制度があります。少しでも経済的負担を軽くするために、知っておくと役立ちます。

住宅改修費の補助(介護保険)

  • 手すりの設置、段差解消、滑り防止床材の施工など
  • 上限20万円まで(自己負担1〜3割)
  • 1回限りではなく「必要性が変わった場合」は再支給可

福祉用具購入費の助成(介護保険)

  • ポータブルトイレ、入浴補助具、移動用リフトなど
  • 上限10万円まで(自己負担1〜3割)/年間

おむつ代の助成(自治体による)

  • 高齢者で失禁がある方への支援制度(収入・要介護度要件あり)
  • 市区町村によって内容が異なるため、地域包括支援センターに相談を

高額介護サービス費制度(介護保険)

  • 自己負担が一定額を超えた場合に払い戻される制度
  • 月額上限は、所得や世帯構成で変動(例:低所得者で月15,000円など)

高額介護サービス費の利用者負担段階と利用者負担上限額(月額)

利用者負担段階区分上限額(月額)
市町村民税課税世帯(※1)課税所得690万円(年収約1,160万円)以上である者がいる場合140,100円(世帯)(※3)
課税所得380万円(年収約770万円)
~課税所得690万円(年収約1,160万円)未満である者がいる場合
93,000円(世帯)(※3)
市町村民税課税~課税所得380万円(年収約770万円)未満44,400円(世帯)(※3)
市町村民税非課税世帯下記以外24,600円(世帯)(※3)
・前年の公的年金等収入額+その他の合計所得金額(※2)
の合計が80万円以下の場合 
・老齢福祉年金受給者の場合
24,600円(世帯)(※3)
15,000円(個人)(※4)
生活保護を受給の場合15,000円(個人)(※4)

※1:同一世帯の全ての65歳以上の方の課税所得で判定を行います。

※2:「その他の合計所得金額」とは、合計所得金額から公的年金等に係る雑所得(公的年金等収入額から公的年金等控除額を差し引いた金額)を差し引いた金額です。

※3:介護保険サービスを利用した全世帯員の方の合計の上限額です。

※4:介護保険サービスを利用した本人の負担の上限額です

医療費との合算制度(高額医療・高額介護合算制度)

高額介護合算療養費制度は、医療保険と介護保険における1年間(毎年8月1日~翌年7月31日)の自己負担の 合算額が高額な場合に、自己負担を軽減する制度

  • 医療と介護、両方で自己負担が重なった場合、合算での還付が受けられる
  • 年間の自己負担上限:所得に応じて変動(例:年34万円程度)

後期高齢者医療制度加入者および70歳以上国民健康保険加入者

所得区分要件限度額限度額                (平成30年8月から)
現役並み所得者
(上位所得者)
  世帯に市民税課税所得が145万円以上 ある被保険者がいる世帯の方  67万円区分3 ・ 212万円(課税所得690万円以上)  区分2 ・ 141万円(課税所得380万円以上) 区分1 ・ 67万円(課税所得145万円以上)    
一般現役並み所得者・区分1・2.に該当しない方56万円 
住民税
非課税
世帯(区分2)
市民税非課税世帯で、区分1に該当しない方31万円 
住民税
非課税
世帯(区分1)
世帯全員の各種所得(公的年金は控除額を80万円で計算)が0円の方
または市民税非課税で、被保険者本人が老齢福祉年金を受給している方
19万円※ 

 ※低所得者1で介護保険の受給者が複数いる世帯の場合は、限度額の適用方法が異なります。

70歳未満の国民健康保険加入者

所得区分                 
所得901万円越212万円
所得600万円越901万円以下 141万円
所得210万円越600万円以下                     67万円
所得210万円以下60万円
住民税非課税世帯34万円

同一世帯に70歳未満と70歳以上の方がおられる場合は、まず70歳以上の方の自己負担額を合算し支給額の計算をした後、そのなお残る自己負担額を70歳未満の方の自己負担額と合算して支給額を計算します。支給額の計算時にそれぞれの基準額を適用します。

計算期間は毎年8月1日から翌年7月31日までの12か月です。

障害者手帳・生活保護などとの併用

  • 認知症や脳血管障害等により、身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳等の対象となることも
  • 手帳があれば、医療費の自己負担減免・税制優遇・公共交通機関の割引なども対象になる可能性あり
  • 生活保護受給者は、介護保険サービスも「原則無料」で利用可能

税金の控除制度もチェック

税金の控除とは?

税金の控除とは、収入から一定の金額を差し引いて、税金を安くする制度です。医療や障害の認定を受けることで税金の控除が可能な場合があります。

医療費控除

  • 介護保険サービスのうち、医療系のサービス利用料は医療費控除の対象(通所リハビリや訪問看護など)

医療費控除の対象となる居宅サービス:国税庁リンク

障害者控除

  • 要介護認定を受けた方が「特別障害者」に該当することがあります
  • 本人や扶養者の所得税・住民税が軽減される可能性もあります。

※申請には医師の意見書や自治体の判定が必要。ケアマネがアドバイス可能。

要介護3の在宅介護と介護施設利用の月額費用の比較表

自宅での在宅介護と特別養護老人ホーム入居とサービス付き高齢者住宅での月額費用の比較表です。

費用項目在宅介護(自宅+訪問サービス)特別養護老人ホーム(特養)サービス付き高齢者住宅
家賃・住居費0(持ち家)35,130円(従来型個室)50,000円
食費約30,000円43,350円約45,000円
共益費・管理費0030,000円
介護サービス利用料(介護3)27,048円21,960円27,048円
雑費・生活費約10,000円約10,000円約10,000円
医療費・薬代約10,000円約10,000円約10,000円
合計(概算)77,048円120,440円172,048円

特養は施設サービス・在宅介護・サ高住は在宅サービスのカテゴリーになります。在宅介護はサービスを使った分で費用も変動します。特養は施設サービスで固定費になります。

要介護3で在宅サービスと施設サービスはどっちがいい?

在宅・施設どちらにも良い点と課題があり、「その方らしい生活」が継続できる場所を一緒に考えていくことが大切です。
必要であれば、ショートステイや体験入所などを活用して比較するのも一つの方法です。

🌟 在宅サービス(居宅サービス)

メリット

  • 住み慣れた自宅で生活できる:心理的な安心感が大きい。
  • 柔軟なサービス利用:訪問介護、デイサービス、訪問看護などを組み合わせて使える。
  • 家族との時間が保たれる
  • 自立支援に効果的:生活の中でリハビリができる。

デメリット

  • 家族の介護負担が大きくなりやすい
  • 夜間や緊急時の対応に不安がある場合も
  • 住環境の整備(手すり、段差解消など)が必要な場合もある

🏠 施設サービス(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設など)

メリット

  • 24時間体制の介護・医療支援がある
  • 家族の負担が軽減される
  • 生活全体が支援されるため、重度の方でも安心

デメリット

  • 住み慣れた自宅を離れる不安がある
  • 他の入所者との人間関係にストレスを感じる場合がある
  • 施設によっては待機が長く、費用が高いことも

🧭 判断のポイント

判断基準在宅サービスが向く施設サービスが向く
本人の希望自宅で過ごしたい安心して暮らしたい
介護度低~中度中~重度
家族の支援家族の協力が得られる家族の支援が難しい
緊急対応自立度が高く対応可能24時間対応が必要
環境自宅のバリアフリー化が可能自宅改修が難しい