認知症とは
認知症とは、何らかの病気によって脳の神経細胞が傷つき死滅するために、「記憶障害」などの症状が現れて日常生活に支障を来す症状のことです。厚労省の調べによると、高齢者人口の急増とともに認知症患者数も増加し、2020年には325万人まで増加するとされます。
物忘れは加齢でも増えてきますが、加齢による物忘れと、認知症状による記憶障害は異なります。加齢による物忘れでは、「友人と遊びにいったのは覚えているが会話などは覚えていない。食事は食べたが、おかずは何だったか思い出せない」というように、体験したことの一部を忘れますが、時間や場所など問題なくわかります。日常生活に支障はほとんどありません。一方、認知症による記憶障害では、新しい記憶がすっぽり抜け落ち、体験したことを忘れてしまい場合によっては事件などを起こす場合もあります。
例えば、食事したこと自体を覚えておらず、忘れているという自覚もありません。最近の出来事から忘れてしまう短期記憶が低下している状態になっております。同じことを周囲の人に何度も繰り返し聞いてしまうなどして、本人は焦燥感や不安が大きくなり人との関りや生活に支障を来してしまします。
認知症の代表的な4タイプ
アルツハイマー型認知症
最も多い夕イプの認知症です。脳にたんぱく質でできた老廃物がたまり、神経細胞か死滅して脳が萎縮していきます。症状としては、記憶障害や生活動作の障害などが現れます。また、記憶があいまいなときには、高齢者は取り繕ってごまかそうとすることもあります。
アルツハイマー型認知症の予防方法について
血管性認知症
脳梗塞や脳出血・脳卒中などが原因で起こります。活気がなくなったり、歩く・食べるなどの動作が緩慢になったりします。糖尿病や高血症などの生活習慣病や心臓病などがあると、脳卒中発症しやすく、血管性認知症か心こる危険性が高くなります。
レビー小体認知型認知症
「レビー小体」という異常なたんばく質の塊が、脳の神経細胞を壊すことで起こります。実際にはないものが見える「幻視」や、睡眠中に大声を出したりする「レム期睡眠行動異常症などが現れます。
前頭側頭型認知症
脳の前頭葉や側頭葉の神経細胞が死滅するために起こります。社会に適応するために本能を抑制する部位が障害されるため、交通違反や万引きなどを繰り返すことがあります。
認知症別のそれぞれの症状
病名 | アルツハイマー型認知症 | レビー小体型認知症 | 血管性認知症 | 前頭側頭型認知症 |
脳の変化 | 老人斑や神経原線維変化が、海馬を中心に脳の広範囲に出現する。脳の神経細胞が死滅していく | レビー小体という特殊なものかできることで、神経細胞が死滅してしまう | 脳硬塞、脳出血などが原因で、脳の血液循環が悪くなり、脳の一部が壊死してしまう | 脳のなかの前頭葉と側頭葉の神経細胞が少しずつ壊れていく |
画像でわかる脳の変化 | 海馬を中心に脳の萎縮がみられる | はっきりとした脳の萎縮はみられないことが多い | 脳が壊死したところが確認できる | 頭部MRIで前頭葉や側頭葉に限局した強い萎縮を認めます |
男女比 | 女性に多い | 男性がやや多い | 男性に多い | 男女差なし |
初期症状 | 物忘れ | 幻視、妄想、うつ状態、 パーキンソン症状 | 物忘れ | 性格変化や行動異常 |
特徴的な症状 | 認知機能障害(物忘れ等) 物盜られ妄想・徘徊・取り繕いなど | 認知機能障害(注意力・視覚等) 認知の変動 幻視・妄想 うつ状態 パーキンソン症状 睡眠時の異常言動 自律神経症状など | 認知機能障害(まだら認知症)手足のしびれ・麻痺・感情のコントロールがうまくいかないなど | 認知機能障害(見当識障害・協調性がとぼしくなる・感情のコントロールがうまくいかないなど) |
経過 | 記憶障害からはじまり広範な障害へ徐々に進行する | 調子の良い時と悪い時を繰り返しながら進行する。 ときこ急速に進行することもある | 原因となる疾患によって異なるが、比較的急に発症し、段階的に進行していく ことが多い | 病気の進行に伴い、意欲や活動性の低下・運動機能も廃用症候群のために徐々に障害を受ける |
認知症のサインを知ると、認知症状を早期発見できる!
認知症で最初に現れることの多い症状は、記憶障害です。しかし、認知症では記憶力や理解力・判断力などの認知機能が低下していくため、記憶障害のほかにもさまざまな・症状が現れます。
認知症の症状は、脳の神経細胞の死滅によって起こる中核症状と、中核症状に関連して現れる行動・心理症状に大きく分けられます。これらの症状を知っておくと、認知症の早期発見につながりやすくなります。また、例えば「則布を盜まれたと身近な人を疑う」「以前は興味があったことに興味を示さなくなる」「怒りぽっくなった」など、本人や家族など周りの人が、おかしいと感じた場合は、早めに医者に相談をすることが大切です。
認知症の症状は「中核症状」と「行動・心理症状」に大きくわけられる。
中核症状
脳の神経細胞の死滅により現れる症状。記憶障害以外も判断力の低下、言葉がわからなくなる・自分のいてる場所がわからくなる・今の時間が何時なのなど失行・失語・失認など様々な症状が人それぞれで現れます。
行動・心理症状「BPSD」
中核症状に対する不安や混乱などから起こる症状です。【行動・心理症状をBPSDと略称で表現されることもあります。(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:「BPSD」】周囲の物が無くなったと訴えたり、不眠や徘徊など人により違った症状が現れます。症状を軽減する為には本人の安心できる環境を作ることが有効です。
軽度認知障害(MCI)の段階で見つければ認知症への移行を防げる可能性も
認知症状は、当然発症するわけではありません。多くの認知症は、脳に少しずつ変化が起こり、長い年月をかけて徐々に進行してしていきます。発症する前には軽度認知障害(MCI)と呼ばれる段階があります。
軽度認知障害(MCI)は、いわぱ認知症の一歩手前の状態です。まだ認知症ではないため、認知機能が低下していても日常生活にに人きな支障ははありません。
軽度認知障害(MCI)のある人の約半数は、数年のうちに認知症に移行すると考えられています。しかし、残りの半数は、軽度認知障害(MCI)の状態を保ち続けたり、正常な状態に戻ることもあるといわれています。認知症上を根治するのは困難でも、軽度認知障害(MCIの)段階で適切に対処することで認知症への移行を防げる可能性があるのです。
ただし、本人や周りの人が、軽度認知障害(MCI)の段階で気付くのは、簡単なことではありません。記憶障害があっでも、症状が軽度のうちは年のせいだと考え、受診するのが遅れることかあります。特に、アルツハイイマー型認知症では、本人が記憶障害をごまかそと取り繕う傾向があるので、気付くのが遅れてしまう場合があります。
• 正常と認知症の中間の状態。
• 物忘れはあるが、日常生活に支障がない。
• 年間10~30%が認知症に進行する。
(正常な方からは年1~2%が認知症発症)
• 一方、正常なレベルに回復する人もいる。
(5年後に38.5%が正常化したという報告あり)
• 認知症治療薬の効果はないとする研究が多い。
認知症の症状を早く見つけるためにできること
軽度認知障害(MCI)や認知症を早期の段階で見つけるためには、病気や健康について気軽に相談できる主治医をもっことが大切です。
記憶障害が現れると、例えば、ふだん使っている物の扱いやルーティンで行っている行動ができなくなることがあります。主治医は問診などで認知症状を確認してくれます。必要に応じで認知症の専門医を紹介してくれます。
短期記憶のテスト
「ペン」、「時計」、「本」など(対象者に対しては、本または、ペンなどのわかりやすい言い方をする)」を見せて、何があるか復唱をさせ、これから 3 つの物を見えないところにしまい、何がなくなったかを問うので覚えて置くように話を行う。5 分以上してからこれらの物のうち 2 つを提示し、提示されていないものについて答えられたかで判断する。